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CrossOver__10 |
その村は、ロケット村、というらしい。 そう教えられたとき、わたしは普通にそういう地名なのかと思っていたら、違った。 村の外れにある、でっかい“ロケット”。それが名前の由来。 そんな通称がついたおかげで、元々あったこの村の正式な名称は、誰もが忘れてしまったらしい。 こんなところにも、歴史の陰で隠された事実というものがあるようだ。 歪められっぷりでは、聖アジョラの足元にも及ぶまいが。 というか比べるなって感じではあるが。 そんなロケット村を、わたしたちは駆け抜ける。 比較的イヴァリースに近い、家々の佇まいの間を縫って、イヴァリースでは見たこともない“ロケット”へと。 走る合間に聞こえる、村人の会話。 それは、隠しようのない興奮だか期待だかにあふれていた。 まとめれば、こう。 神羅がやってきた。 ロケットでなにかしてる。 何が始まるんだろう。 ――わくわく。 以上。 で、当然やってきているのが神羅である以上、そしてわたしたちが彼らの工作物であるロケットを目指している以上、当然ジャマは入る。 入るのだが。 「オラオラオラオラオラー!!」 普段の、タバコすって斜に構えた粋なオヤジ、という印象をかなぐり捨てた熱血っぷりを見せて槍を振るうシドのおかげで、さしたる苦労は感じなかった。 場所が場所だ、オレ様が行かねえでどうする! と、急遽突入部隊に増員されたのだ。 なんでも、ここは彼の故郷であり、それ以上に強い思い入れのある場所だそうだ。 しかし、いくら同名とはいえ、こうも違うもんか。 あっちのシドと、こっちのシド。 冷静沈着な剣聖と、良い意味でのガキくささを感じさせるオヤジ。 共通点と云ったら、本当に性別くらいじゃない? ……ふむ。 向こうに戻って、もしオルランドゥ伯がぽっくり逝ってなかったら、竜騎士にジョブチェンジするように勧めてみようか。 などと考えていたら、いつの間にやら十数メートルほど、シドたちと距離が開いてしまった。 「おらおら、姐ちゃん何してやがる! 急げ急げ!!」 で、こう急かされるわけだ。 「はいはい」 肩をすくめて、心なし落ちていた、走る速度を取り戻す。 最初に上空から見たときは何かの模型にしか見えなかったロケットは、もう、すぐ目の前だった。 ――そして、わたしたちはその男と対峙する。 |
10です。シドとシド。 同名なのに、歴代でぜんぜん性格違いますよねー。 |