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CrossOver__11



 聖職の坊主を思わせる、陽光に輝くスキンヘッド。
 ただし、表情を隠すようにつけられた色眼鏡が、むしろその男を強面に見せている。
 実際、そうなのかは判らない。ただ、手に獲物を持っていないとはいえ、服の上からでも、その体躯が鍛えられたものであろうことは、容易に想像できた。
「…………」
 数名の有象無象を従えた男は、沈黙でもってわたしたちを出迎える。
 ――見覚えのある服装だった。
 そう、海底魔晄炉で“レノ”と呼ばれていた男とまるっきり同じ服装。
 となれば、彼もまた神羅の関係者ということなのだろう。
 何より彼の実力は、これまで蹴散らした有象無象の比ではなさそうだ。
 破竹の勢いで進んでいたクラウドたちの足が、彼を目にした瞬間止まったのがいい証拠。
「ルードか……」
 大剣を構え、クラウドがつぶやく。
 ――ルード。それが彼の名か。
 レノと違い、徒手空拳を旨とするらしい彼は、その声を皮切りとしたか、音もなく半身をかしがせ、腰を落とす。
 イヴァリース風に云うなら、モンクってとこ? しかも、相当の修練を積んだ。
 そして、ルードもまたつぶやく。
「……おまえたちか」
 声は、意外にも、耳に心地好いバリトン。
 しゃべるのが苦手なのか、それとも癖か。一語一語ゆっくりとつむぐそれもまた、好印象。
 っていやいや、敵に好印象抱いてどうするんだろう。
 とはいえ、先日のレノもなかなか憎めない人間像だったし――

 第一。
 手段こそ違えど、神羅とクラウドたちは“セフィロスを倒す”という共通の目的がある。
 どうにもソリが合わないのは見れば判るが、完全に敵とも見なしていない、ような気がする。
 レノ然りルード然り、親友にはなれなさそうだが、しのぎを削りあう好敵手としては良い存在なのかもしれない。

「……“”」
「わたし?」

 ふと、ルードの視線が――色眼鏡越しで、はっきりとは判らないが――こちらを向いた。
 次いでつむがれた、確認するような呼びかけに、それが確たるものになる。
「……レノが云っていた」
「あ? なんでアイツがこの姐ちゃんを知ってんだ?」
 そう問うのは、さっきの海底突入に参加してなかったシドだ。
 隣のティファが、ああ、と軽くうなずいた。
「たしか、海底魔晄炉で……」
 こくり、と、クラウドとルード、それからわたしも首を上下させ、
「何? 厄介な敵が増えたって?」
 茶化すように云ってみる。
 が、ルードは「……いや」とかぶりを振った。
「……佳い女がいた、と」
「――――そりゃどうも…………」
 これは……喜ぶべきところなのかしら……?
 わたしはそのとき、実に怪訝な顔をしていたに違いない。
 が。
 次の瞬間、額に青筋が浮き出たのもまた、絶対に間違いないことだった。

「……だが、俺は、ティファの方が佳い女だと思う。……胸も大きい」

「「・・・・・・」」
「「・・・・・・」」

 誰と誰、誰と誰の沈黙か、判断いただけただろうか?
 わたしとティファは、目を見交わす。
 クラウドとシドは、顔を見合わせる。
 一瞬だけ頬を染めたルードは、自分で自分の死刑執行書にサインしたことを気づいているんだろうか。
 すぐに顔色を元に戻し、これで会話は終わりとばかり、腰を落としてこう告げた。

「……ともあれ……神羅の計画を邪魔する者は、排除する」

 排除されるのはあんただ。

「人が気にしてたことをよくも云ったわね信祈祈祷フレア――――!!」
「まじまじと人の胸見て云うんじゃないわよファイナルヘヴン――――!!」

 ……爆音。
 ……閃光。
 ……震動。
 ……以下省略。

 どんな光景が繰り広げられたかは、推して知るべし。
 そして前言撤回。
 神羅関係者なんか、大ッ嫌い。



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いまごろ、NEXTとかのリンク貼ってないことに気がついた
…そのうち追加しておきます