[23] notitle by わたしだ さんへ返信

[23] notitle

とある世界を創り出した、創世者がおりました。
その名も存在も定義されないまま、稀に見られる姿と力でもって、その世界の生き物から敬われ慕われておりました。

あるとき、異世界からやってきた迷い人が、創世者の姿を目にしました。
迷い人は言いました。
「あれはドラゴンだ」
ドラゴンとはなんだ。その世界の者たちの問いに、迷い人は答えました。
「あれは獣だ」
「あれは超越の力を用いて長き時を生き、気まぐれに暴虐をもたらすものだ」
迷い人が語るごとに、世界の者たちがそれを聞き受け入れるごとに、創世者の存在はじわじわとその器に定められていきました。

[24] Re: notitle
「いつまでも牙を向けてこない保証はない」
「世界を壊される前にドラゴンを倒さなくてはならない」
「この世界のために」

迷い人は勇者と名乗り、自らはドラゴンを倒し得る存在であるのだと世界の者たちに認めさせていきました。
創世者の器さえ定義した世界の者たちの意識によって勇者は生まれ、起ち、長き試練と旅を経て、とうとうドラゴンのもとへたどり着きます。

やれおもしろきこと。

すっかりとドラゴンの器におさまってしまった創世者は笑いました。
それを邪悪な哄笑と受け止めた勇者は、世界を壊すほどではない戦いの末にドラゴンを打ち倒しました。
ドラゴンの血と肉、鱗、角、それら構成物すべては光の粒子となって消えていきました。

[25] Re: notitle
勇者は悪しき獣の厄災を防ぎ世界を守った英雄として、子々孫々末永く語り継がれ讃えられることになるのでした。

またこのときから、世界にドラゴンという種族が生じることとなりましたが、彼らは倒された器のドラゴンのような大きな力は持っておりません。
ですので勇者や世界の者は、彼らがそれまで隠れ住んでいただけで、主たる器のドラゴンが敗れたことで統制を失ってさまよいでてきた哀れな獣として認識しました。
それらドラゴンたちは、知性ある世界の者や勇者を害する他の獣と同様、討伐や狩りの対象として見られることにもなったのです。

[26] Re: notitle
なげーわ(途中)


記事No. 削除キー