裏切りを知った。
魔族の本質を知った。
幸せになれればいいなどと、そんな甘い考えで魔族を救えはしないことを、思い知った。
力さえすべて。
力こそが至上。
――オレは、魔族の王になる。
「でも、なんだかんだ云ってもダークは優しいと思うんですよね」
「はいはいはーい、ちょこもおんなじに思うのー」
「そうだよねぇ。なんか、冷徹になり切れてないって云うかさ」
「ほほほ、そこがダーク殿のダーク殿たる所以かと」
「ダークのココロ、蒼穹の風の色。澄み渡っていて、冷たくて、けれど暖かい。フシギ」
「力を誇示するしか能のないアルファには、誰もついていかん。アルファは強き者が選ばれるが、強さはねじ伏せる強さだけではない」
――いつか、出逢う彼らとの、会話の一欠けら。
そして、物語の始まり。
2.黄昏の世界で彼らは出逢う