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国家錬金術師×3=・・・


 女三人そろうとかしましい、と、世間様では云うけれど。
 国家錬金術師が三人揃うと、世間様ではどう云うんでしょう。

  ※

「そういえば……と鋼のは、どっちが身長が高いんだい?」
「「「・・・・・・は?」」」

 爆弾発言をかました大佐は、エドワードの睨みつける視線も知らぬげに、いや絶対知ってて無視してるんだろうが、にっこりと笑っていた。

「ちょっとふたり並んでみてくれないか?」
「え? いいけど。――ほら、エド君」
「・・・・・・」
「エド君?」
「兄さん・・・・・・」

 不思議そうにエドワードを見る、実に複雑怪奇な表情で動こうとしないエドワード。
 にこにこ――いや、にやにや笑って見ている大佐。

「・・・もしかして」

 とことこ、とエドワードの座っている横まで歩いて、は鋼の錬金術師を覗き込んだ。

「身長、コンプレックス?」
「云うな姉・・・」

 わしわしと頭をかき乱して、エドワードはうなだれる。
 (誰が身長コロボックル並だ・・・)と思っていても、口に出しては云わない。
 だってだから。

 つーか誰もそんなこと云ってもおらんが。

 どうあってもと並びたくないらしいエドワードを見て、大佐が人の悪い笑みを浮かべた。

「・・・いいんだよ! 俺はまだ成長期途中なんだから!」
「当人が云うほど哀しいセリフは、それをおいて他にないな」
「ンだと!? だいたい、なんだってあんたいきなり俺と姉の身長なんて気にするんだよ!」
「あ? ああ――別に他意はないのだが」

 大佐の笑みがますます楽しそうになったのは、気のせいだろうか。
 むしろ他意ありまくりだろうが、と、誰かが心の中で突っ込んだ。

「たしかは、『肩に乗れるくらいおっきな人』と結婚するのが夢だってどこかで作文に書いてたなと思ってな」

「――!!!」
「きゃああああ!? ロイ兄さん、そんな小さい頃のコトまだ覚えてたの!?」
「あ、ボク乗っけたげようか、姉さん」
「え? いいの? じゃなくてロイ兄さん! そういう昔話を不意打ちしないで!」
「アルー! おまえ俺を裏切る気かー!?」
「ははは、鋼のとを見たら、不意に思い出したんだよ」
「だって乗せるくらいならボクだってやってあげれるし・・・姉さんにはお世話になってるから」
「・・・よーく判った。アル、今日からおまえも俺の敵だ!」
「ちょ、エド君何云ってるの!?」
「はははは、若いねえ鋼の」
「大佐が変なこと云いだすからですよー!」
「思い出したんだからしょうがないじゃないか」
「黙ってればよかったじゃない黙ってれば!!」
「ていうか姉、いつまでもこんな奴の家に世話になるな! 絶対そのうちなんかされるぞ!!」
「え? 何かって・・・」
「こら、鋼の。人を危険人物みたいに云わないでくれないか」
「思いっきり危険人物じゃねーか!! 姉との年の差考えろ!」
「あの・・・何かって・・・」
「それを云うなら君もとの身ちょ・・・・おわっ!?」

 ドゴゴゴゴゴゴゴッ

「鋼の! 床から投石器を造りだすんじゃない、危ないだろう!」
「・・・何かって・・・」
「るっせー! 大砲じゃないだけましだと思え!!」
「ほう、そうくるか。ならばこっちにも考えがある!」

 バチッ! ヂヂヂヂヂッ!!

 ドカーン!

「アホ大佐ー! 火事起こす気か!?」
「安心したまえ、とアル君は責任持って救出するから」
「ふふふふふふふふふ、そーかそーか・・・・・・うおりゃあッ!!」
「おおうッ!? ならば!」

 ――周囲で響く爆裂音。
 そのさなか、端っこでぽつねんと座ると、とりあえず火の粉が降りかからないようにガードしているアルフォンス。

「・・・アル君」
「何? 姉さん」
「『何か』って・・・何?」
「・・・・・・さあ・・・なんだろうねえ・・・・・・」

「死ね―――――――ッ!!」
「それはこちらのセリフだ!」

「とりあえずさ」
「うん?」
「ふたりとも子供だよね」
「うん・・・」

 なんでこんな展開になったのかさっぱり判らないと、ちょっと判るけど説明していいのかどうか迷うアルフォンス。
 とりあえず、ふたりが判っていることと云えば。

 国家錬金術師は三人どころか二人揃うだけで、街ひとつ壊滅させられそうだということだった。


■BACK■



こんなノリが国家錬金術師の日常だったりしたら、
かなり皆さん微笑ましく見守ってくれていそうです。自分に火の粉が降らないかぎり。
さて肝心の主人公さんの身長ですが。エドの全長より3.5センチ低いという管理人設定です。
身長、じゃなくて、全長、なのがポイント。頑張れ男の子!