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ある午後のお話


 ある日の午後。
 エドワードの髪をいじっている
 そうして、あんまり気は進まないけどの頼みだからいじらせているエドワード。

「エド君の髪って綺麗ねー」
「は? 何云ってんだよ姉」
「だって手入れとかしてなさそうなのに、さらさらじゃない」
 やっぱり女としては、憧れるなあ。
「そうかー? 姉のがきれいだと思うけど、俺」
「いやいや、実はこれで枝毛とか結構あるのよ」
「ふーん・・・じゃあ俺にも姉の髪見せて」
「え? ・・・やだ」
「じゃあ、俺の髪もいじらせてやんないけど」(にやり)
「・・・・・・ぐ。どうぞ」
「そうこなくちゃな♪」

「……あんまり引っ張らないでね、くすぐったいから」
「でも、なんでひとくくりにしてんの? 下ろしたほうが似合うよ姉は」
 ってこの匂い何?
「香水?」

 髪をひとふさ手にとって、エドワードは顔を近づける。

「いやほら、下ろしてると仕事の邪魔だし・・・」
 それはねー、香水っていうほどでもないんだけど、髪留めにかけてるの。
 直接つけるよりこっちのが好きなんだ、と、は笑う。
 まあ、『きゃりあうーまん』のたしなみってやつですか。
「でも、今仕事じゃないだろ」
「・・・習慣です」
「あっそ」

 はらり

「え、エド君!?」
「仕事中じゃないならいいじゃん」
「う・・・そうだけど・・・肩口で髪揺れるから、首くすぐったいんだよ?」
「んー」
「・・・聞いてる? エド君」
「聞いてない」
「あのねー……ってこらこら、頭乗せるな余計にくすぐったいって!」
「んー」
「・・・エド君ー?」
「ん」

 ぽんぽん

「……昨夜も徹夜してたね、そういえば」
「うん」
「こーの甘えたさんめ」
「んー」

「・・・・・・姉」
「なーに?」
「もうちょっと、髪下ろしてて」
 下ろしてる方が、いい匂いよく判る。
「・・・我侭エド太」
「ん」
「今度、この香水あげよっか」
「え?」
「そしたらお姉さんがエド君といつも一緒♪」
「・・・・・・・・・・・・」

 うん。
 それでもいいんだけど。それもうれしいんだけど。

「やっぱさ」
「んー?」

 本物の姉のほうがいい。

 きゅ、と。腕を回す。

「何で片腕だけ? こっちも、ほら」
「あ、姉右腕は――」

 右腕は冷たいよ、機械だから。
 だから左腕だけしか使わなかったのに。

 そんなことないよ、これもエド君の一部分だから。
 今はこれがエド君の本物でしょ。

「・・・・・・」

 ぎゅ、と。その人を抱きしめた。

「うん、よしよし」

 身体の前で交差しているエドワードの腕を、は両手で包み込んだ。
 ますます強く頭を押し付けてくる、幼馴染みの男の子に、クッキーがもうすぐ焼きあがるよ、と、いつ云おうか考えながら。

 それは、ある日の午後のお話。


■BACK■



.........どうしましょうこれ。エド偽者ぽい(ぉひ)
わたし的には、午後のゆったりした時間の一幕を書いてみたつもりなんですけど。
いや、でも......安心出来る人が傍にいると、なんとなく甘えたくなるんじゃないかなーって
思ってみたり、しました。やっぱりほら、まだ15歳だし。
てゆーか、アルどこに行ったんでしょう。妥当なトコロでお使いかしら。