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きもちのなまえ |
それを、なんと云おうか迷うこともある。 その人との関係を、なんて云おうか。 幼馴染み?(故郷が一緒で小さいときはよく遊んだし) 仲間?(今、こうして一緒に旅してるし) 同僚?(国家錬金術師同士だし) 姉弟?(それくらい身近に感じてた) ――その人との関係を、なんて云おう。 なんと云える、間柄になりたいんだろう? そう思うこの気持ちをなんて云うんだろう。 自分はまだ、そんな簡単なコトさえ知らない。 ・・・”今日も今日とて”。 隣の部屋で寝ているはずのエドワードがなかなか起きてこなくて。 いったいどうしたんだろう、とノックしたら、アルフォンスが出てきて。 そうして、彼が黙って部屋のなかを指差したとき、真っ先に思ったのはそのことば。 「・・・徹夜?」 「うん、何度ももう寝たらって云ったんだけど」 「・・・まったく、もう……」 「でも姉さん、姉さんだって――」 「しー・・・」 宿に備え付けの机に向かったまま、本は開きっぱなしペンは握りっぱなし。 お間抜けに口を半分開けてぐーすか安眠中なのは、我らが鋼の錬金術師エドワード・エルリック。 アルフォンスがかけてやったんだろう毛布が、今にもずり落ちそうだ。 ひとこと断って部屋に入り、まずは毛布をかけなおす。 「エド君」 「・・・ぐー」 ふにふに、ほっぺたをつっついて。 「エドくーん」 「・・・うー」 ぺしっと手を払われるけれど、これくらいじゃくじけません。 みつあみに手をかけて、軽く引っ張った。 「・・・ん・・・」 そのみつあみを、ちょっと上に持ち上げる。 急に首筋が寒くなったらしいエドワードが、小さく身震いした。 それでもまだ、目は覚まさないけれど。 「アル君」 「え? 何? 姉さん」 エドワードに兄さんと呼ぶように、には姉さんと呼んではいても、アルフォンスとに血のつながりはない。 同じようにエドワードも姉、と呼ぶけれど、やっぱり血のつながりはない。 それは幼い頃の癖、そのままの呼び名。 年下の幼馴染みに、はにこりと笑って云った。 「氷」 「・・・え?」 「氷。」 ------------------------------------ 鋼の錬金術師ドリームアンソロジープロジェクト(HDAP)様に投稿した作品。 の、さわりの部分だけ。 つづきが読みたい方はどうぞ下からご購入くださいね、と、宣伝宣伝(笑) 購入方法等については、HDAP様の方でご確認くださいませ。 |