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“あの男は、聖杯を目前にしながら破壊した”

 そうなんだ。

“アインツベルンを裏切って去ったのだ”

 そうなんだ。

“あの火災に巻き込まれた子供を引き取って育てているらしい”

 ――――――

“名は……”

 ああ、つまり。
 アインツベルンだけじゃなくて、私もママも、ってことなのね?


 この地に残った何もかも、キリツグは、もう要らないってことなのね――――?


 幸せそうだって聞いたのよ。
 遠い極東の地で、小さな子たちを育てながら、本当に穏やかに――私やママを見てたのと同じように、笑ってるって。

 ママが死んでしまったのに、
 私があんな目に遭ってたのに、

 穏やかに、優しく暮らしてるって聞いたから。

 キリツグの子は私なのに、
 キリツグの家族は私とママなのに、

 シロウとが、それを奪っちゃったから。

 ――――殺してやろうって。思ってるのに。


 なんで。
 キリツグは泣いてたの?

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