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 ……意識はぼやけている。

 閉じたままの瞼の向こうには、ひとの気配がふたつある。敵意はない、というか完璧に逆。
 俺や、俺の隣を気遣うようなそれをただ感じるばかり。

 申し訳ないと思った。

 だけど、それを伝えるには起き上がって声を出さないといけない。正直云うとまだ身体は気だるくて、目を開けるのさえ面倒だと思ってしまうくらいだったりする。
 それに、気配の主は判ってるから、開けて確かめるまでもないかな、などと思ってしまうのだ。
 昨夜から俺たちを非日常の渦に巻き込んでくれた、蒼いのと金色のそれ。
 怖れるものなく戦いに赴いていた彼らが、床についてる俺たちを気遣わしげに見つめてるっていうのは、ちょっとおかしい。だが、同時にちょっと安心した。人知を超えてるあいつらにも人間くさいところがあって、嬉しいなと。いや、蒼いののほうはさんざんそれを披露してくれてたけど、改めて。


 ……で。

 申し訳ないけど。もう少しだけ。
 隣のぬくもりもまだ夢うつつのようだし、もう少しだけ、そうしさせちまうけど――――すまん、勘弁

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